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−odolとの出会い、デザインをするようになったきっかけを教えてください。

公稀くん(森山)とは同じ大学(東京藝術大学)に在学していました。wip結成前に同じメンバーで、アニメーションを制作する機会があって、それに合う音楽をつけてくれる人を探していたときに、紹介してもらったのが出会ったきっかけです。当時公稀くんは一年生だったんですけど、めちゃくちゃ優秀で(笑)凄い子がいるなと思いました。
それで彼がバンドもやっているっていうことでodolの音源を聴かせてもらって。その後自主制作盤を作るときからジャケットとか、グッズのデザインをしてほしいと頼まれたところから今に至ります。

−メンバーとの印象深いエピソードはありますか?

ライブを観るたび、毎回成長しているなあと思うので、特にこの日がというのではないけど…弟たちの成長を姉目線で見てるような感じですね(笑)久しぶりに観に行ったときは、「歌も演奏もまたかっこ良くなってる!」とか「ミゾベくんが上手く喋れるようになってる!」とか発見が多いです(笑)

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−どんな流れでアートワークは進めていくのでしょうか?

基本的に私を含めた「wip」という4人のチームで話合ったり分担してデザインをしています。
1st Album『odol』までは、私たちから出たアイデアを提案させてもらったことが多かったかもしれないですが、『YEARS』以降は、予めミゾベくん、公稀くんと話して、作品がどんなイメージで作られたかを聞いて、曲を聴いて膨らませていくっていう進め方になりました。

−それぞれの作品のジャケットの意味などを教えていただけますか?

(1st Album)『odol』は、初めての全国流通の作品っていうことで、私たちが思うodolのイメージ「青」を全面的に使おうっていうことが最初にありました。その上でひとひねりあるアイデアを加えたいと思って、青焼きっていう印刷方法を表現したり、紙ジャケだけどプラケースの線を描いたりして遊びを入れてました。

(2nd Album)『YEARS』は、「故郷」、「生活感」とか日常にある景色をイメージして作りました。ジャケットの表面は私が描いた絵で、内側は今井駿介くんの写真を使わせてもらいました。メンバーからテクスチャー感を出して欲しいって言われた気がします。ジャケットに海を描いたのですが、「years」のMVも海沿いのシーンがあって、「繋がった!」って驚いたのを覚えています。

(1st EP)『視線』は、先行配信した「GREEN」のジャケットを先に作ったんです。メンバーからこの曲はどういう思想があるかっていうことを聞いて、それが人間の想像力の無力さ…想像力っていうのは他人に及ばないっていうところへの無力さと、それでも諦めきれないっていう人間的な感情の揺らぎみたいなところがあると。その他者の分からなさを象徴するものとして、どこかに向かっているアリ、公園にいるアリをジャケットに採用しました。
『視線』では、「GREEN」のジャケットをキュビズム(色んな視点を同じ一枚の絵の中にも入れて表現する)っていう手法を使って柄っぽくして。遠目で見ると同じようにも見えるし、キュビズムが『視線』のコンセプトにも通じるってことで取り入れました。

今回の『往来するもの』は、9曲全て共通のテーマがあるわけではなく、1曲1曲そのときの場面、心境でつくられたものだということで、それぞれが違う方向を向いている、多面体のサイコロをモチーフにしました。周囲の色を映しこむ銀色の世界で、その時々の環境の影響を受けながらそれぞれの面が方向性を示します。ブックレットも1曲ずつ、曲ごとのイメージでデザインしています。

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−odolの音楽をどう感じて聴いていますか?

「情景が浮かぶ」のと「エモーショナル」であるっていうことですかね。それは初期の頃からずっと一貫していると思います。

−今回のアルバムはどう思いましたか?

沁みるだけでなく、体にくる感じがします。これまではじわっと沁みる曲が多かったと思うんですけど、今の私のイチオシ「four eyes」は、これまでになかった新しい感じ…体が動くタイプの曲で、まだまだ新しい面を見せてくれそうだなと思いました。

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PROFILE

グラフィックデザイナー
木下真彩

東京藝術大学デザイン科卒、同大学院修了。
odolの自主制作盤の頃よりアートワーク全般を担当している。