odol

−odolとの出会い、レコーディングをするようになったきっかけを教えてください。

ピアノの森山とは大学(東京藝術大学)の同期で、森山がバンドをやっているということでデモトラックなども聴かせてもらっていました。
odolを結成してから2回目のライブが下北沢251であったので観に行ったんですけど、森山がその日の前から俺のことをメンバーに話していたみたいで。実際にライブを観て、もっとこうしたほうが格好いいかもねとか、メンバーとも話して、それ以降ライブについて行ったり、レコーディングをするようになりました。

−メンバーとの印象深いエピソードは何かありますか?
付き合いが長いので、色々あると思うのですが…。

なんだろうな…。でも、今考えると自主制作盤の「生活/ふたり」の頃は、当時odolがリハで使っていたスタジオにみんなで深夜に入って。みんな学生とかだったので、俺も学校帰りに機材を持ってそのままスタジオに集合して、朝まで録音してとか…なんだかんだ凄く懐かしいですね。今じゃ絶対ないので、意外とそれが一番思い出深いかもしれないです。

odol

−ちょっと戻るのですが、森山とは同期とのことでしたが、何学部だったんでしょうか?

音楽学部音楽環境創造科です。
専攻は違うんですが、自分は音響で、森山は作曲。

−同じ授業を受けている中で知り合ったんですか?

学部が一緒だったので、ガイダンスが一緒だったり、必修授業や一般教養では一緒にはなりました。
やっぱり一年生の時から仲良かったですね。クラシック系の人が多い中、森山だけはバンドやってたので。僕もバンド系をやりたくて入ってた部分はあったので、それで自然に仲良くなったところはありましたね。

−odolの全作品でレコーディングエンジニアとして携わっていただいていますが、一番気に入っている曲はなんですか?レコーディング的に納得のいく録りだったりとか、単純に楽曲として好きとか、どういう方向でも。

「逃げ」(「逃げてしまおう」)ですかね。一番は。
その当時に音が一番良く録れたなっていうのはあるんですけど、それは置いておいて、個人的に一番odolっぽいかなと…。

−それはどういう点がでしょうか?

結構ピアノもクラシックとかジャズ寄りの音をしていて、旋律も普通の、いわゆる邦ロックみたいなところにはない雰囲気の曲だけれども、個人的にはodolの中でいうとシューゲイザー感というか、「欲しい」とか「退屈」とかもそうですけど、そういう感じの部分が好きっていうのもあるんですけど。
でもなんかちょっとAメロとかBメロとかで「普通にはしないぜ、俺」みたいな森山のひねくれた感じが凄い好きっすね。
最近ライブであんまり聴かないですけど、意外と一番全部集約しているのは「逃げ」かなと。

−odolの音楽をどう感じて聴いていますか?

どうなんですかね…。なんかでも、まだ出発地点みたいな感じがするというか、これだけ作品は出てますし いっぱい一緒に録ってきているんですけど、いまだにodolらしさみたいなものは正直よくわからないというか。良い意味で。
いわゆる何々っぽいみたいなのが odolってあんまりないというか、言っちゃえばそれ全部odolっぽいんですよね。何も言えない感じが。
作品ごとに当時のメンバーの趣味とかが濃く出てると思うんですけど、毎回違う部分も考えていて。その定義できない感じとかも含め、まだ出発地点にいるなみたいな。
それで、今出しているものを全部引っさげてこれからやってきますじゃないけど、そんな感じがするというか。
質問とはずれちゃうかもしれないんですけど、まだスタートラインみたいな気はしますね。
それが全部odolっぽいになればいいなとは思うんですけど。

−今回のアルバムはどう思いましたか?

なんか実験的というか…今までの中でいくと、どポップではないじゃないですか。メロディーラインとかも変則的なものがたまに入っていたりして。この人たち今色々吸収しまくっているのがわかる。だから、そういう意味では引き出しがアルバムの中にいっぱいある分、どのファンにでも刺さるものがあるんじゃないでしょうか。
あと、曲の並びがライブのセトリとも似てるというか、起承転結みたいなところがあって…もちろん音源ではあるんですけど、ライブ感があると思います。がっつり打ち込みの曲もあるんですけど、そのセクションはそういうトラックをDJが流しているようにも聴こえるし。

それぞれ結構キャラが濃いですけど、1曲目「光の中へ」で一気に開けさせてる、突き進んでる感があるじゃないですか。そこでお客さんを掴んで、あとはもうodolのちょっとドープなところに行ったりとか、逆にポップなところに行ったり、悲しいところに行ったりみたいな部分もあって。
だから、個人的にはライブ盤だと思うって感じです。
今までは結構、音源作品な感じがしてたんですけど、今回は結構ライブ盤かもしれないですね。

odol

−この次のodol、どんな曲が生まれそうとか、想像することはありますか?

全く読めないですね。
ただ、「発熱」は次への…みたいな感じがしますね。
今まで森山が作りそうで、意外とodolとしては作ってなかったというか。
学校の作品とかでは他の学生とのコラボとかもあったんですけど…。

−それって、これまでのodolの曲とどう違いますか?

個人的な感想ですけど、ある意味森山が本当にやりたい感じの曲な気がします。
坂本龍一がずっと好きだったとか、ずっと一緒に学生として授業受けてたりして学生時代から結構森山の曲が好きだったので、森山の趣味はある程度わかるんですけど、それをシンプルに、バンドではないけど、odolとしてちゃんとまとめている感じ。
個人的にはすごい好きな曲調ではあるので、だから、今後もこういうのがたまに出ると良いなとかは思いますね。

odol

PROFILE

レコーディング/PAエンジニア
染野拓(そめの ひらく)

レコーディング/PAエンジニア
東京藝術大学を卒業後フリーランスで活動。
odolの他、WONK・MELRAW・ものんくる・東京塩麹・King Gnu等を担当。
hiraku-someno.tumblr.com